1台のデモ機を、全国を回る営業マンに変える
2026/09/08
―展示会が終わった後、その機械はどうしていますか?―
新しい農機を全国へ広げるために、展示会へ出展する。
実機を展示し、来場者に見てもらい、カタログを渡し、興味を持ってくれた人と名刺交換をする。
農機メーカーにとって、展示会は今でも大切な営業の場です。
ただ、展示会が終わった後、そのデモ機はどうなっているでしょうか。
会社へ戻って保管される。
次の展示会まで倉庫に置かれる。
問い合わせがあったときだけ実演に持っていく。
もしそうだとしたら、その1台にはまだ働いてもらえる余地があるかもしれません。
私たちは、デモ機そのものを「全国を回る営業マン」にできないかと考えています。
展示会で「いいね」と言われても、その先が難しい
展示会では、新しい機械ほど人が集まります。
「面白い機械ですね」
「うちの地域でも使えそう」
「実際に畑で使ってみたい」
そんな声も出てきます。
ところが、展示会から数週間、数か月経つと、その熱は少しずつ冷めてしまいます。
農機は、その場で数百万円、数千万円の購入を決めるような商品ではありません。
農家からすれば、
「自分の畑でも本当に使えるのか?」
ここを確認してから購入したいのが本音ではないでしょうか。
だったら、展示会で終わらせず、その先に**「実際に使える機会」**を用意しておく。
ここまでがメーカーの営業になってもいいと思います。
デモ機を「展示する機械」から「使ってもらう機械」へ
例えば、新潟で展示会を行った後、そのデモ機を地域の農機店に一定期間置いてみる。
そこで興味を持った農家に実際の農作業で使ってもらう。
次は長野。
その次は群馬。
さらに別の地域へ。
こうして1台の機械が地域を移動していけば、その場所ごとに新しい農家との接点が生まれます。
ただ機械を運んで展示するだけではありません。
実際の畑で使われれば、
「どんな作業に向いているのか」
「どんな農家から反応があるのか」
「この地域ではどの仕様が求められるのか」
メーカー側にも情報が戻ってきます。
デモ機が営業だけでなく、市場調査までしてくれるようになります。
地域によって、売れる理由は違う
同じ農機でも、地域によって使われ方は変わります。
平地と中山間地では求められる性能が違います。
稲作地域と畑作地域でも違います。
雪国なら、農繁期以外の使い方が見つかるかもしれません。
メーカー側が想定していなかった使い方を、農家が見つけてくれることもあります。
これは、カタログを配っているだけではなかなか分かりません。
実際に地域へ機械を持っていき、使ってもらうから分かることです。
全国展開を考えるのであれば、最初から「全国で同じ売り方をする」のではなく、
地域ごとに売れる理由を見つけていく。
そんな考え方も必要なのではないでしょうか。
そこで重要になるのが地域の農機店
ただし、メーカーだけで全国の農家へデモ機を貸し出すのは簡単ではありません。
貸し出す前の点検。
・操作説明。
・引き渡し。
・返却。
・使用後の確認。
・もし故障した場合の対応。
全国へ広げれば広げるほど、メーカーだけでは対応しきれなくなります。
そこで力になるのが、その地域にある農機店です。
普段から農家と付き合いがあり、機械の知識があり、整備もできる。
メーカーがすべての地域に営業所をつくらなくても、地域の農機店と連携できれば、デモ機を安心して動かせる可能性があります。
農機店にとっても「知らない商品」ではなくなる
これはメーカーだけのメリットではありません。
農機店にとって、新しいメーカーの商品をいきなり販売するのは不安があります。
・本当に売れるのか。
・地域の農家が興味を持つのか。
・どんな故障が起きるのか。
・自分たちで対応できるのか。
しかし、まずデモ機を扱ってみれば、その製品を知ることができます。
さらに自分のお客様が実際に使えば、反応も分かります。
「この地域なら需要がありそうだ」
そう感じてから代理店になるのであれば、最初から代理店契約をお願いするより、ずっと自然です。
代理店を探す営業から、代理店が生まれる仕組みへ
全国の農機店へ電話をして、
「弊社の商品を取り扱いませんか?」
と営業する。
もちろん、それも必要です。
ただ、それだけでは時間も人手もかかります。
もう一つの方法として、まずその地域で商品を使ってもらう。
という入口があってもいいのではないでしょうか。
・農家が使う。
・問い合わせが増える。
・農機店が対応する。
・購入相談が生まれる。
その結果、「この商品なら正式に扱ってみたい」という農機店が出てくる。
こうなれば、代理店開拓の考え方そのものが変わります。
1台の機械から全国展開を始める
全国展開という言葉を聞くと、何十店舗もの代理店や、大きな営業組織が必要なイメージがあります。
しかし、最初は1台でもいいと思います。
まず一つの地域で使ってもらう。
農家の声を集める。
動画を残す。
利用実績をつくる。
購入につながるかを見る。
地域の農機店にも商品を知ってもらう。
そして次の地域へ移動する。
これを繰り返していけば、1台のデモ機から少しずつ販売エリアを広げることができます。
nRnsでつくりたいのは、そんな流れです
nRnsでは、メーカーの機械を単純にレンタル商品として掲載するだけではなく、地域の農機店が間に入る仕組みをつくっています。
メーカーのデモ機や新製品を地域の農家に使ってもらい、農機店がその貸し出しを支える。
そこから購入相談が生まれれば、販売につなげる。
そして、その地域で需要が見えてきたら、新しい販売拠点として育てていく。
そんな流れが全国各地でできれば、メーカーがすべての地域に自社拠点を持たなくても、新しい製品を広げられる可能性があります。
展示会が終わったところを、営業のスタートにする
展示会に出展することがゴールではありません。
そこで興味を持ってくれた人が「今度は自分の畑で使ってみたい」
と思ったときに、次の選択肢があるかどうか。
ここが大切だと思います。
・見る。
・興味を持つ。
・借りる。
・使う。
・相談する。
・買う。
この流れを地域の農機店と一緒につくる。
そうすれば、デモ機は展示会場に置かれているだけの機械ではなくなります。
全国を回りながら農家と出会い、地域の農機店と出会い、次の販売先を見つけてくれる。
1台のデモ機が、全国を回る営業マンになる。
これも、これからの農機メーカーが全国へ製品を広げていく一つの方法だと考えています。

