代理店100社を集める前に、10社の成功事例をつくる。
2026/09/14
全国に商品を広げたい。
そう考えたとき、一つの目標になるのが「販売代理店の数」です。
10社、50社、100社。
取り扱ってくれる農機店が増えれば、それだけ全国展開に近づいたように見えます。
でも、本当にそうでしょうか。
代理店契約はした。
カタログも置いてある。
ホームページにも販売店として掲載されている。
ところが、一年間で一台も売れていない。
そんな代理店が100社あったとして、それを「全国に販売網ができた」と言えるでしょうか。
メーカーが本当に増やしたいのは、契約書を交わした農機店ではなく、実際に商品を動かしてくれる農機店のはずです。
だったら、最初から100社を目指すのではなく、まず10社の成功事例をつくる。
全国展開を考えるなら、この順番も大切だと思います。
代理店契約をしただけでは、商品は動かない
新しい商品を扱うことになった農機店へ、
カタログを送る。価格表を渡す。商品の説明をする。
「何か案件があったらお願いします」と伝える。
これだけでは、なかなか商品は動きません。
農機店には、すでに長年販売しているメーカーがあります。
お客様から相談されたときも、まず頭に浮かぶのは使い慣れた商品です。
そこへ新しいメーカーの商品を入れても、すぐに同じように販売してもらうのは難しいものです。
問題は、その農機店に販売力がないことではありません。
「誰に、どんな場面で、この商品を勧めればいいのか」がまだ分からないのです。
売ってもらう前に、「使われる場面」をつくる
例えば、新しく代理店になった農機店の地域で、一度も商品が使われていなかったとします。
その状態で、
「この商品をもっと販売してください」
と言われても、農機店側も困ってしまいます。
ところが、その地域でレンタルが始まり、
「この作業で使いたい」
「うちの圃場でも試したい」
「実際に使ってみたら思ったより良かった」
という農家が出てきたらどうでしょう。
農機店も、「こういうお客様に提案すればいいのか」と分かってきます。
つまり、販売店を増やすことと同時に、その販売店が商品を提案できる理由をつくることが必要なのです。
10社それぞれに「最初の一台」をつくる
全国展開の初期段階では、100社へ薄く広げるより、まず10社に深く関わる方がいい場合があります。
例えば、その10社それぞれで、
デモ機を置く。農家に試してもらう。レンタルする。実演会を開く。利用した農家の声を集める。購入相談までメーカーと一緒に対応する。
そうやって、一店舗ずつ「最初の一台」が売れるところまで一緒につくる。
この経験がとても重要です。
一台売れれば、その農機店には販売経験が残ります。
納品した経験も残ります。
お客様からどんな質問をされたのかも分かります。
そして何より、「この商品は本当に売れる」という実感が生まれます。
1台売れた農機店と、まだ売ったことがない農機店は違う
農機店にとって、一台目と二台目では大きな違いがあります。
一台目は分からないことばかりです。
どんな説明をすればいいのか。
どこを評価してもらえるのか。
納品時に何を説明すればいいのか。
どんな問い合わせが来るのか。
しかし、一度経験すれば二台目は少し楽になります。
さらに、その地域に実際のユーザーが一人できることで、
「あの人も使っている機械ですよ」
と紹介できるようになります。
地域の農業では、この実績が強い。
カタログに書かれている海外の導入実績よりも、
「隣の地域の○○さんが使っている」
という事実の方が、購入を検討する農家には伝わることがあります。
成功事例は、次の代理店を連れてくる
最初の10社で実績ができると、メーカーの代理店営業も変わります。
それまでは、
「この商品は性能がいいです」
「海外ではこんなに使われています」
という商品説明が中心だったかもしれません。
しかし実績ができれば、
「新潟では、この作業で導入されました」
「この地域では、レンタルから購入につながりました」
「この農機店では、こういう方法でお客様へ提案しています」
という話ができます。
これは、次に代理店になる農機店にとって大きな安心材料になります。
成功している農機店のやり方を、そのまま次の地域へ持っていくこともできます。
10社でつくった経験が、11社目、20社目、50社目を増やす力になっていきます。
失敗した事例も、実は大切
すべての地域で成功するとは限りません。
デモ機を置いたけれど、問い合わせが少なかった。
レンタルはされたけれど、購入にはつながらなかった。
思っていた用途とは違う使われ方をした。
価格で断られることが多かった。
こうした結果も、メーカーにとっては大切な情報です。
なぜ動かなかったのか。地域が違ったのか。ターゲットが違ったのか。価格なのか。販売方法なのか。
それを最初の10社で確認できれば、全国100社へ広げる前に修正できます。
むしろ、全国へ広げてから問題に気づく方が大変です。
小さいうちに失敗できることも、最初のモデル地域をつくる意味だと思います。
「加盟店数」より「稼働している店舗数」
全国展開をすると、どうしても分かりやすい数字を追いたくなります。
代理店50社。
代理店100社。
47都道府県をカバー。
もちろん、それも一つの成果です。
しかし、もう一つ見てほしい数字があります。
そのうち何店舗で実際に商品が動いているのか。
何店舗でレンタルが行われているのか。
何店舗から購入相談が出ているのか。
何店舗が二台目、三台目を販売しているのか。
こちらの数字の方が、販売網の本当の強さを表しているかもしれません。
nRnsでも「登録して終わり」にはしたくない
nRnsが全国の農機店とのネットワークを広げていくうえでも、同じことが言えます。
加盟する農機店の数だけを増やしても、レンタルが動かなければ意味がありません。
メーカーが商品を出す。
地域の農機店がその商品を知る。
農家が実際に使う。
農機店に経験が残る。
そこから購入相談が生まれる。
この一連の流れが地域で動いて初めて、ネットワークとして価値が生まれます。
だからこそ、数だけを追うのではなく、一つひとつの地域で実績をつくることが大切だと考えています。
最初の10社を「成功モデル」にする
全国100社の代理店網をつくる。
大きな目標としては、とても魅力があります。
でも、100社を集めることを最初のゴールにする必要はありません。
まず10社。その10社で、
農家に使ってもらう。
農機店に商品を知ってもらう。
レンタル実績をつくる。
一台目を販売する。
アフターサービスを経験する。
そして二台目につなげる。
ここまでの流れをつくる。
その10社が本当に動き始めれば、そこで生まれた成功事例そのものが、次の代理店を増やす営業材料になります。
全国展開は「点を増やすこと」ではなく「成功を横に広げること」
地図の上に販売店のピンを100個立てる。
それだけなら、全国展開は比較的分かりやすいかもしれません。
でも、本当に目指したいのは、そのピンの一つひとつで商品が動いている状態です。
だから、100社と契約する前に、10社で成功する。
そして、その10社で見つけたやり方を次の地域へ持っていく。
10社が20社になり、20社が50社になり、やがて100社になる。
全国展開とは、代理店を一気に集めることではなく、一つの地域で生まれた成功を、横へ横へと広げていくことなのではないでしょうか。

